メソッドとテーマ
メソッドっていうのは方法論とか手段ですよね。
テーマは主題というか、まあ、テーマです。
で、テーマがあって、それを目指してメソッドがあるわけです。
俺のいままでの感覚でいけば。
でも昨日、狂言を見ていて思ったのが、テーマの希薄さ。
「素襖落」という曲で、太郎冠者が延々、十五分くらい、
お酒を飲んで酔っていくシーンがあるんだけど。
これが面白いんだ。ただ、お酒を飲んで酔う、っていうそれこそテーマとも言えない筋を、
役者の芸だけで延々と十五分も展開し、しかも観客を飽きさせない。
メソッドの勝利、という感じでした。
感心したのが、杯をあおいで酒を飲むときに、のどをぐびぐび言わせる音が、
きちんと聞こえてくるところ。
あと、酔って主人のもとに帰るところの千鳥足というかそれがすごい。
ほんとに酔った人そのもの。同僚がよくああなってるけども(笑)。
これが200年以上も前から続いている芸なんだからすごいです。
すごいと言えば、群像劇によくある、複数の役者がばらばらに台詞と動作を言っていくのも、感心。
あれは現代のものかと思っていたけど、
バロックから古典、ロマン派を経て、至った現代音楽がバロックの要素をたぶんに含んでいるように、
始祖はあるわけですな。