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鴨川チェロ

ご無沙汰してます。あさたかでございます。

最近、休みの日に天気が良いと、鴨川まで出てチェロの練習をします。
というのも、あさたかの部屋は壁がとても薄く、消音器付きでメゾピアノ以下の強さでないと、
隣の部屋や上の部屋に音が響きまくってしまうのです。
ちなみに隣の部屋でバンドの練習をしてる大学生はそんなこと、毛ほども気にしてないみたいですが。
まあいいや。
で、チェロを売ってくれたお店のひとが言うには
「できれば消音器はつけないで弾いてほしい、チェロによくないから」
とのこと。
確かに、余計なものつけると共振周波数とか振動モードとか変わってくるし、
あらゆる材料は半分生き物みたいなもの(結晶化とかクリープとか)で、
楽器なんかは構造自体が材料に左右されるような形で、そういうところに本来とは違う振動を与えつづけると、
いざ素になったときにきちんとした音が出なくなる、というのは機械工学科にいたからなんとなくわかる。

というわけで、長い冬の終わりを待って、4月の半ばから天気の良い休日は外でチェロの練習をしています。
はじめは恥ずかしかったのだけれど、だんだん平気になってきました。

普通に通り過ぎていく人、ちらちらと見る人。
2、3歳くらいの子供や犬はものめずらしそうに寄ってきたり。
これってチェロですか、とかお年寄りに声をかけられたり。
通り過ぎたカップルの片方が「あなたもやってみたらー」とか言ってたり。

なかなかそういう反応も面白いです。

で、4月の終わりの休みにも、そんな風に練習してたわけなんですが。
ちょっと日が傾きはじめた頃に、アングロ・サクソンな方に声をかけられまして。
「僕が弾いてるところを写真取ってくれない?」(もちろん英語で)
と。カメラを渡されて。ん?僕が弾いてるところ?まあいいや。
「いいですよ。」

で、あさたかがカメラを構えると、その人はすっ、と弓を動かして曲を弾き始めたわけです。

ヨハン・セバスチャン・バッハ 無伴奏チェロ組曲 1番 プレリュード

初めて、生で、この曲を聴きました。すごい。すごうま、です。
カメラを渡された以上、とらなあかんので、アマチュア・フォトグラファの能力を出し切って撮影はしたけど。
音に気をだいぶとられていた。

で、終わって(短い曲だから2~3分くらい)、カメラを返しながら聞くと。
「ああ、僕はプロフェッショナルだからね」

え?そうなん?っていうか、どこかで見た覚えが。。。って、ああ!
某オケのチェロ奏者じゃん!そら、うまいわ!

その後、しばらく彼は僕のチェロを握ったまま、いろいろアドバイスをしてくれました。
というのも、その日の僕の練習開始からずっと隣のベンチで彼は書き物をしていたのです。
っていうことは、俺のしょぼい音を全部聴かれていたという。。。恥ずかしい。。。

でも、ただ一音出すだけでも、違うんですね。
その楽器本来の、出すべき音、みたいなものが、出てる感じで。

「フォームは悪くない、あとはきちんとチェロの振動を感じて、それに乗る感じで右手を使うんだよ」

そんなことを言われました。

それ以来、ずっといまひとつな天気で、外で練習できていないのですが、また、外で練習できたらいいな、と思っています。
っていうか、また会えないかなあ。いろいろと聞きたいこと山盛りなんよね。

コメント

うわ、なんかめちゃ良い出会いやね。
チェロがんばってるんやなー。

せやろー。びっくりしたけど。
実はあんまり練習できてないんだけど、外で弾くのはなんか楽しいよ。
俺、電気無くても幸せになれるー、みたいな。(笑)

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