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いのち

はじまりは木曜日の夜。
母親から携帯電話に着信があり、かけなおしてみると、
「ばあちゃんが倒れた」
とのこと。
いまのところは落ち着いている、というので、
金曜日、仕事が終わってから、すぐに名古屋に戻った。

土曜日の朝、母親に病院と病室を教えてもらう。
以前も行ったことのある病院で、迷わずに病室に行く。
父親が泊り込みで側についていた。
指先に血圧・心拍センサをつけ、それがモニターに繋がっている。
呼吸チューブが鼻に挿入され、腕には点滴の針が刺さっている。
数ヶ月前は杖を突きながらも歩いていたのだけれど。

今は安定しているということで、お昼頃に伯父と付き添いを交代。
父親の車で家に戻る。

家で軽く昼食をとっているときに、母親に、
野良猫が子供を産んだ話をされる。
動物愛護センターというところに持っていくという話で、
とりあえず午後は暇だったのでその仕事を受ける。

動物愛護センターの周辺地図と6匹の子猫(ほんの15cmくらい)が入ったダンボールを受け取り、
母親のコンパクトカーに乗り込んで、出かける。
センターの場所が平和公園という東山の墓地群の横ということで、
まあ、だいたい先は読めた。愛護なのか?ってこと。

ひさしぶりの名古屋で、しかも苦手な東山付近なため、少し道に迷ったけど、
無事にセンターにたどり着く。BGMはチャイコフスキー交響曲2番。
駐車場から温室が左右に立ち並ぶ道を歩いていく。
途中、ベーべキューセットを持った10人ぐらいの団体を追い抜く。
僕の歩みはいつも速い。

子供動物園のような背の低いケージに犬が何匹か放し飼いにされていて、
陽気なBGMが流れていた。ベル系の音が室内楽調の楽をかなでている。
犬と子供が戯れていて、それを大人たちが笑顔で眺めている。
愛護館と書かれた建物に入り、近くにいた小柄な女性の職員に聞くと、
持ち込みの動物は坂の上の建物で対応するとのこと。
こちらは犬や猫を欲しい人たちが引き取りにくるところらしい。

坂を少しのぼると、すぐに無愛想な建物が見えてきた。
ドアをくぐると受け付けの男性が出てきて、話をする。
ダンボールを開けて、子猫を見せる。生まれたて。
安楽死処分、とのこと。大変申し訳なさそうな表情。

狭い階段をのぼり、2階の事務所にむかう。
「一日にどれくらい、くるんですか?」
「そうだね。少なくても日に30匹は。16区全体からね。」
事務所で簡単な書類を記入し、礼を言って出てきた。