切屑堂 kirikuzudo

ブログ: 2017/01/15 七輪、はじめました

免責事項:本ブログの記事を元に何かをされる場合は自己責任でお願いします。本ブログの記事を元にすることで起きたあらゆる事象に対して本ブログの筆者は一切責任を持ちません。 <準備> 今年の冬はやけに冷え込むので、デロンギのオイルヒーター(600Wのみ使用)に役不足感を感じて、追加の熱源をいろいろと検討したのですが、  ・灯油ストーブ => 灯油を室内に置くのはなあ  ・ガスファンヒーター => ホースの取り回しができなかった  ・灯油ファンヒーター => 灯油を室内に置くのはなあ というわけで、炭火を試してみようという結論に至りました。 気体燃料や液体燃料と比較すると、固体燃料の木炭、特におが屑を固めたオガ炭や備長炭のように燃焼面後退の遅い炭は着火しても燃焼の拡大がゆるやかなので本質的な安全度が高い、というわけです。 早速、仕事あがりにホームセンターに寄って、以下の道具を購入してきました。  ・七輪(1700円)x1個  ・ステンレス炭ばさみ(150円)x2本  ・20cmアルミ鍋(700円)x1個  ・備長炭1kg(1200円)x1個  ・オガ炭4kg(700円)x1個  ・着火剤18本入り(150円)x2個  ・焼き網250mm角(200円)x1個  ・ステンレス桶(800円)x1個  ・耐火レンガ(300円)x2個 あと、火起こし器はホームセンターによいものが置いてなかったので、 Amazonでキャプテンスタッグのアウトドア用のものを買いました。  ・火おこし器(1900円) <点火> まず七輪を空っぽにしておきます。 次に屋外で火おこしをします。 耐火レンガを2つ並べて、壁面を金属の板で保護します。 耐火レンガに着火剤を2つ、切り取って、並べます。 着火剤はこういうものです。「バスター」? おそらくコルク材のようなものに灯油に類する液体をしみこませてあるのだと思います。 1つだと炭に着火しないので2つ使います。 着火剤の上に火おこし器を置いて、オガ炭を入れます。 わりと細かく砕いてやらないと火が付きません。 また、着火するのは床面の孔付近で、着火剤の炎が触れるところになるので、 炭の砕いた端面に着火剤の炎が触れるようにしておくとよいです。 ガストーチで着火します。 着火剤はマッチやライターでもすぐ火が付きますので、火おこし器を横において着火剤を点火してから火おこし器を炎にかぶせてもいいですが、けっこう炎の勢いが強いので、火をつけたガストーチの先っぽを火おこし器の下部側面にある空気孔からさしこんで着火したほうが安全だと思っています。 (ガストーチは燻製やるときに便利なので買い置きしてます) 火がつくとこんな感じです。 火おこし器の下部側面の空気孔から空気が吸い込まれて上昇していくので、まわりに炎が出たりすることはありませんが、周辺50cmに可燃物がないようにしておきましょう。わりと暖かいです。また、派手に黒煙が出て、臭気もけっこうきついので、ベランダだとご近所から苦情が来ると思います。場所は考えた方がいいですね。 5分ちょっとで着火剤が燃え終わり、オガ炭の下面が赤くなっていれば着火成功です。ステンレス炭ばさみ(トングみたいなやつ)で炭を火おこし器からアルミ鍋に移します。残念ながら着火していない炭があっても気にせず移しましょう。七輪のなかで他の炭から火が渡ります。 アルミ鍋から七輪に炭を移します。着火している炭を下にして、上に着火していない炭を積んでいきます。積むときに空気の流路が複雑になるように意識してやるといいかもしれません。炭を積み終わったら、異物が落ちて燃えないように焼き網250mm角をのせます。 焼き網で切り餅やソーセージを焼くこともできます。 写真は魚沼産こがねもち米100%の切り餅です。 七輪には燃焼調節機構があります。下部側面にある空気窓がそれです。基本的には写真のようにちょっとだけ空いていれば十分な熱量が得られますが、鍋で煮炊きするような用途では全開に近い状態にしてやるとよいかもしれません。 焼き網の上は均等に熱が伝わってくるわけではなく、炭の状態や場所によって熱の伝わり方もことなります。写真のように炭の上面があまり赤くなっていない状況では放射伝熱はあまり支配的ではなく、炭が燃焼して生成される燃焼ガスとそれとの対流で混合した空気での自然対流伝熱が支配的になります。 といったように工学的な考察が楽しめる調理器具ですが、そういったことを考えたくない直感派の方は網の上30cmぐらいに手をかざしてみればだいたいの加熱具合がわかると思います。 うまく被加熱物の位置取りをしてやるとこのように理想的な焼き加減のお餅ができあがります。醤油を垂らして、焼き海苔で巻いて食べました。最高です。 五徳を買い忘れたので、工場に余っていた鋼材(等辺山形鋼 t3 x 25 x 250L)を持ってきて鍋置きにしてみました。ホームセンターでステンレスの角管などを切断購入されるのでもいいかもしれません。アルミは0.3T(molten)を超えてクリープするのでやめたほうがいいと思います。 このように大きな鍋を置いてもいいですし、小さな鍋や薬缶であれば、鋼材を置き方を変えてやれば対応できます。 ガスと違って、炭は着火が手間なのと、火を消したいときには消し壺などに入れて酸素の供給を遮断してやらないといけない、ということもあり、スタート/ストップが苦手な熱源です。消し壺は買っていないので、基本的には燃やし切る方向で考えました。そのためにはどれだけの炭に着火すればいいのかわからないといけないですが、そればっかりは回数を重ねて慣れていくしかないと思います。論文とか出てるといいんですが。 基本的に、お餅を焼いたあとにもまだまだ余力があるのが普通なので、お湯を沸かしたり煮物をしたりするのがいいと思います。写真の量だと4時間ぐらいは熱を出し続けますので、お茶を沸かして、それから味噌汁を作るぐらいのことはできます。というわけで、先ほどの水を張った鍋に里芋を投入してみました。 出汁を入れて味噌を溶かせば里芋の味噌汁ができあがりです。 火力を抑え気味にして放置してやれば、沸騰させず、味噌と出汁の風味が生きたよい味噌汁ができます。 数回、使ってみた感想としては、古い木造家屋や工場などの換気しやすい環境では追加の熱源としてはなかなか便利なものだと思います。特にオガ炭や備長炭などの木炭は燃焼の進行が遅い固体燃料で、爆発的な燃え方をしないため、つけっぱなしで鍋を置いて30分程度のお買い物などしてくる分には十分に安全だと言えます。(たまに火の粉がとぶので、上に十分な面積の鍋を置かない状態で出かけるのはちょっと危ないです) 当然、高温熱源なので、灯油ストーブと同程度に火傷するリスクはあります。また、倒れて炭がこぼれたときも、炭は燃え続けますので、床材などに引火する危険があります。転倒しないような構造材を作ればいいですが、そのあたりはファンヒーターのほうが優位かと思います。 本格的に調理ができる(というか、元々七輪は調理用ですね)という点は他の熱源に比べて優位ですね。灯油でも調理用ストーブみたいなものがありますが。あとはスタンドアロンな熱源なので、屋外で移動させて使うこともできます。このあたりも灯油ストーブと同様ですね。 着火はやはり面倒です。消火も同じく。スタート/ストップがしづらいのが、忙しい現代人向きではないところでしょう。在宅勤務で小さいお子さんが居られない方などにはわりと良い追加熱源なのではないでしょうか。 あとは燃焼生成ガスに一酸化炭素が多く含まれるため、換気に気を使います。狭い部屋、特にRC造(鉄筋コンクリート)の部屋などで使用するのは避けたほうがよいでしょう。一人暮らしの方も、もし倒れたりしたら死亡確定なので、長時間、ひとりでいるときは使用を避けたほうが賢明だと言えます。もしそういった状況で使用するのであれば一酸化炭素センサーを換気扇と連動させるDIYをしたほうがよいと思います。鉄骨の工場や倉庫、15帖を超える古い木造家屋などでは換気頻度を下げられるので向いていると言えます。 まだ使いはじめたばかりなので気がついていないことも多いですが、週末の時間のある日には使っていこうと思います。